この記事では、
「先進国でのアジア人差別は聞いたことあるけど、途上国ではどうなの?」
という疑問について、ホンジュラスで生活する私の目線で解説していきます。
派遣国や地域によって状況は大きく異なるため、あくまで中米・ホンジュラスで暮らした感想としてご覧ください。
一般的な傾向
アメリカやヨーロッパ諸国などの先進国であっても、いまだにアジア人に対する差別が存在するのは周知の事実であると思います。
それでは、ホンジュラスなど中南米の国ではどうなのか?
結論から言うと、アジア人に対する差別や偏見はゼロではありません。
ですが、一概に強い差別があるとは言えません。
アジア人は珍しい
中南米では、アジア人は非常に珍しいです。(日系コミュニティなどがあるとまた別ですが。)
また、隊員が派遣されるのは、首都ではなく地方都市である場合がほとんどです。
そのため、任地では、『街にいるたった1人の外国人』になることも多いです。
そうなると、私たちの存在はとても目立ちます。
恐らく、多くの協力隊員が一番嫌な思いをするのが「中国人!」「ニーハオ!」と言われることではないでしょうか。

「中国人!」と言われると、なんとなく馬鹿にされているような気持ちになりますよね。
ただ、この発言には、差別的な意味がないことがほとんどです。
私の感覚では、単に珍しいアジア人がいるから、『ちょっと声をかけたい』『かまってほしい』という気持ちで「中国人」と呼んでくる人が多い気がします。
意図的に「中国人」と言っているよりかは、アジア人顔だから「中国人」と呼んでいる感じですね。
決してアジア人を下等な人種と見ているのではないのです。

多くの人がアジア人の区別がつきません
私は「中国人」と言われることには、すっかり慣れてしまって嫌悪感は抱かないのですが、上から下までまるで変なものでも見るようにジロジロ見られるのが嫌だった時期があります。
ホンジュラス人は他のラテンの国と比較すると、大人しく、穏やかな人柄の人が多いです。
故にちょっとシャイな部分もあり、ガンガン話しかけてくる人ばかりではないんです。
ちょっと気持ちが沈んだ時、小さい子を連れたお母さんが子どもに
「ほら、中国人がいるよ、見てごらん」
と言うのが聞こえた時は、「私は動物園のパンダか🐼💢」と憤りを感じました。
今ではすっかり笑い話ですが。笑
でも同時に、日本にいる時の自分は外国人の人がいると、なんとなく珍しくて目で追っていることがありました。
その視線が嫌な人もいたんだろなぁと思うと、当時を振り返って申し訳ない気持ちになりました😔
『中国人』と言う言葉の意味
決して悪気はなく、親しみを持って、声をかけている
といった感じでしょうか?
「Hola chinita(こんにちは、中国人のお嬢ちゃん)」みたいな感じです。
また、ホンジュラスでは容姿がそのままニックネームになることが多く、
ホンジュラス人で目が細かったり、アジア人ぽい容姿の人を「Chino(中国人)」とあだ名で呼びます。
「それ本人嫌じゃないの!?」と私なんかは心配になってしまいますが😂笑
彼らにとっては普通のことなのです。
快適に過ごすコツ
私たち日本人に対して「中国人!」と呼んで声をかけることは、彼らにとって決して差別的な意味は持っておらず、『挨拶の一部』として使っているのかなと思います。
つまり、過度に気にせず、慣れるのが一番。笑
実際、「中国人じゃないよ、日本人だよ〜」と説明すると、ほとんどの人が「へぇ、そうなんだ」と理解を示してくれます。
中には、「日本って中国のどこ?」と聞いてくる人もいます。笑
日本は世界的に有名な国の一つではありますが、その知名度は国や地域によって大きく異なるのです😩
「日本は島国で、言葉も文化も中国や韓国とは違うんだよ」と言うと、大抵の人は驚いています。
特に中南米は、隣の国に行ってもスペイン語が通じるので、国が近ければ言語も同じと言う認識があるのかな〜、と感じます。
しかし、明らかに馬鹿にしたような感じで中国語の真似をして嘲笑してくる人がいたり、目を引っ張って真似をしてくる人がいたりするのも事実です・・・。
そういう人は、相手にせずに無視するのが一番!笑
道端にいる人なら相手にしなくてもいいですが、よく顔を合わせる人やどーーうしても嫌な場合は、「それ嫌だからやめて」と伝えれば、理解してくれます。
また、小さい街では、赴任当初こそアジア人として目立ちますが、「日本人の〇〇」として認識されるのも早いです。
私は、学校の子どもたちのお陰で今ではすっかり「日本人のナギ」として認識されています。
歩いているときに、遠くから「ナギ〜!!」と手を振ってくれると、心がホォ〜っと温かくなります🩷
たまに「誰だろう・・・」って人もいますが、それもまた一興です。笑
アジア人への興味やリスペクト
さて、アジア人に対する差別や偏見がゼロとは言えない一方で、好意的な反応やリスペクトも多く存在します。
日本のアニメや日本車などの技術
ホンジュラスでは、「ドラゴンボール」「ナルト」「ポケモン」などのアニメが大人気です。
今はNetflixやTikTokなどで、誰でも簡単にアニメや映画を視聴できます。
日本のアニメは、子どもから大人まで幅広い世代に愛されています✨
私の学校の子どもたちも、ナルト大好きですし、ポケモンや鬼滅の刃のTシャツを着ている子もよく見ます。
また、日本の車やバイクのメーカーも非常に有名です。
ホンジュラスで、日本車を見ない日はありません🚗
特にトヨタの車は絶大な人気を誇っており
「トヨタに乗っていたら、壊れる心配はない」「安心して、この車はトヨタだから」
と、言われることはしょっちゅうです。笑

ホンジュラスを走る日本車は、アメリカからの中古品であることが多く
「え、この車まだ走るの!?」と、こちらがびっくりしてしまうことも笑笑
私のホストファミリーは、トヨタ車を30年近く愛用していますが、まだまだ現役です✨
本当に日本の技術力に驚かされるとともに、日本人であることを誇りに感じる瞬間でもあります。
日本人の国民性に対するリスペクト
アジア人に対して「勤勉」「礼儀正しい」「清潔」というイメージを持つ人も多いです。
日本の街の清潔さ、美しさ、治安の良さ、きちんと列に並んだり、「おもてなし」の心を大切にするホスピタリティなどを高く評価してくれる人もいます。
また、過去にJICAのボランティアと関わっていた人などは、日本人に対して好意的なイメージを持つ人がほとんどです。
私も過去のボランティアの方々のおかげで、かなり信頼を得ることができました。
感謝の気持ちと共に、「自分も日本人として恥じのないように行動しなければいけないな」と身が引き締まる思いでした。
異文化に対する理解
日本のことを高く評価してくれる人がいる一方で、その知識や異文化に対する理解は、その人の教育レベルや経済力に左右される感覚があります。
ホンジュラスの教育レベルは、残念ながら中南米の中でもかなり低いです。

「差別と教育レベルが関係あるの?」と言う感じですが・・・大いにあります。
私の任地は、地方に位置しており、決して教育レベルが高いとは言えません。
「日本って犬食べるんでしょ?」「中国語喋るんだよね?」
と言われ、「はぁ、この説明何回目かしら・・・」と思いながら、日本について説明したり。
ほぼ地球の反対ある日本のことをホンジュラス人が知らないのは当たり前です。
私だってここにくるまでは中南米のことなんて全然知らなかったし、国ごとの違いも全然わかってなかった。
でも、その発言に『異なる文化や習慣を馬鹿にしたような』ニュアンスが含まれていると、いい気はしません😔
世界にはたくさんの国があって、その土地ごとに違った文化や習慣がある。
違うことを嫌うんじゃなくて、その違いを理解してリスペクトするって、ものすごく大事なことだと思うんですよね🌎
一方で、教育レベルが高く(お金持ち)、異文化に対する興味関心が高い人などは、きちんとリスペクトの気持ちを持って接してくれます。
「日本の文化って素晴らしいよね〜」「日本って〇〇なんでしょ?」と、時にはかなりマニアックな話をしてくることもあります。

「日本に行ったらガイジンって言われるんだよね?」「日本のマフィアはヤクザって言うんでしょ?」と言われた時には、驚きました。
そうやって自分の国に興味をもってくれて、リスペクトの気持ちを持ってくれることって、本当に嬉しいんです。
そして、それはきっとホンジュラス人も同じ。
私がホンジュラスに対して、この国が好きな気持ち・リスペクトの気持ちを持っていれば、違う文化を持つ日本に対する
まさに『想えば、想われる』です✨
まとめ
・差別や偏見はゼロではないが、アジア人に対する強い差別はない
・親しみを持って「中国人」と呼ぶ人も多い
・日本人に対するリスペクトもある
今回は、任地でのアジア人差別について解説しました。
任国や地域によって、差があるとは思いますが、ホンジュラスの一つの例として参考にしていただけたら嬉しいです🙌
それではまた、Adiós👋
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